秋田・青森 秋の小旅行その7 「最終日─やっぱり雨の朝」

三日目の朝も雨だった

午前6時ちょっと過ぎ。
いつもより少しだけ遅く起きる。
旅の最終日を飾る嫌みったらしい雨音に、テンションが今一つ上がらない朝。
テレビをつけ、とりあえず、ぼんやりと身支度をする。
天気予報がろくでもないことを告げているが無視無視無視。
奇蹟は起きる。
きっと起きる。
起きたらいいな。
起きていただいたら幸いです。
一方その頃、台所では女将さんが朝食の準備の真っ最中であった。

囲炉裏のある居間 奥では女将さんが朝食の準備をしている
囲炉裏のある居間 奥では女将さんが朝食の準備をしている

十三夜の朝食=日本の家庭の朝ごはん

午前7時。
今回の旅最後の朝食をいただく。
献立は純然たるジャパニーズトラディショナルスタイル。
早い話が和食。
前日の清風荘もそうだったし、ゆぽぽ山荘も小坂のホテルも、さらに言えば、リッチモンドホテル成田も、亀戸のやよい軒も、朝食はほぼ和食だ。
なにを今さらの和食だが、十三夜の朝食はひと味違う。

まず、「ほぼ」じゃなくて「完璧」な和食であること。
ポークっぽいソーセージとか、トロトロのスクランブルエッグだとか、そんな和洋折衷なものは登場しない。

次に、「普通の家」の「普通の朝ご飯」であること。
実は、「日本の普通の田舎の普通の家の普通の朝ご飯」など、昨今、磯野家の食卓でさえ滅多にお目にかかれない。

かつては土間だったのだろう台所。
台所とガラス戸一枚で隔てられた広い居間。
囲炉裏のある食卓。
炊きたてのご飯とみそ汁。
焼き鮭と納豆と生卵。
そして、傍らで世話を焼いてくれる「母」。

十三夜には、頭の中で思い描いた「日本の家庭の朝食」のすべてが揃っている。
ワタシには二度と手に入れることはできないであろう家庭の情景だ。
それが十三夜の朝食が他所とはひと味もふた味も違う所以なんだよね。
というか、女将さんの存在がやっぱり大きいよね。

などど、心にチクチクとしたものを感じつつ、日本を旅している実感を朝から堪能するワタシであった。

「十三夜」10月23日の朝食全景
「十三夜」10月23日の朝食 なんだか「日本へ旅行に来た」気分
高野豆腐と車麩メインの煮染め
たっぷり汁がしみこんだ高野豆腐と車麩 煮染めは正義だ
漬け物、炒め煮、おひたし、茄子の味噌炒め
漬け物、炒め煮、おひたし、茄子の味噌炒め ご飯が進むくん

台風を心配しつつ出立

朝食を済ませ、部屋で荷を纏める。
TVでは天気予報が相も変わらずろくでもない情報を告げている。
曰く、乗船時間頃にはフェリーターミナルは暴風圏に入るであろうとか、交通機関の欠航・運休が相次いでいるとか、北海道はこれから大荒れになるとかetc。
この3日間、奇跡的というか不幸中の幸い的な運に恵まれて旅してきたが、最後の最後になって神に見放されるのだろうか。
だとしたら、神って絶対女だよな。
とか思いながら出立の準備を済ませ幾枚か撮影。
趣のある廊下の印象をカメラに納め、居間に向かい、相方と話をしていた女将さんに出立の時間であること告げた。

TVの天気予報番組のキャプチャ 台風と合流しそうな模様
天気予報がろくでもないことを告げている
雨の朝の十三夜の廊下
趣のある廊下の朝 窓の外はいけずな雨
雨に濡れる車の後部
2ヶ月前と同様雨の出立 アリベデルチ十三夜

秋田・青森 秋の小旅行その6 「そして十三夜」

ようやく十三夜へ─メタ的な意味でも

寒風山の頂上から隣の山を見る
さようなら寒風山 ほんとうに寒風な山だった

寒風山を後に、どんよりとした空の下、車は北上する。
目指すはマックスバリュー能代北店。
を経由して、本日の最終目的地、民宿「十三夜」である。
今夏に引き続き、これが二度目の宿泊だ。

時刻は13時ちょっと。
4時到着の目標には余裕がある。
計画どおりだな。
なので途中、日本一低い山である「大潟富士」に立ち寄ることに。
計画どおりだわ。

それは標高0mの富士山

大潟富士は、標高海抜0mになるように作られた山である。
大事なことだから二度言うけど、作られた山である。
写真を見てみよう。
単なる盛り土だ。
そして標高0m。
地面との差は4m弱だから、下の車は海面下およそ4m。
本来は水没していることになる。
つまり水没車だ。
当然、写真を撮っている我々も水没している。
つまり水没者…縁起でもない。
よく考えれば、とんでもない施設というか構造物だな。

「お前達はすでに水の底だ!」
「ブクブク」

北斗の拳じゃあるまいし。

にしても、こんな盛り土に富士なんて名前、良くつけたモノだ。
ほめてないぞ。
昭和公園(函館昭和町)の山の方が数倍デカイが、誰も富士なんて言わないし。
富士山の耳に入ったら不敬罪で捕まるレベルだわ。
などと文句垂れながら、函館から見物にやって来るわ、写真は撮るわだけど、
ホント、他に誰もいないんだよね、これを見に来る人って。

日本一低い山「大潟富士」
大潟富士 予想どおりの大きさ─もとい─小ささ
八郎潟を干拓して出来た真っ直ぐな計画農道
どこまで真っ直ぐな道 国策干拓地の証

真っ直ぐ道が空まで続いているようだ…晴れていれば

晴れていれば、さぞかし爽快な眺めだろう。
いかにも、計画され整備された人工的な(実際そうだが)直線道路だが、ワイルドな北海道のそれとはまた違う趣があっていい。
なんというか、全体に穏やかで柔らかな印象だ。
反面、開放感のようなものはあまり感じない。
イージーライダーは似合わないだろうな。
チョッパーを駆るピーター・フォンダを想像してみたが、鉢巻きして軽トラに乗ってる高倉健しか思い浮かばん。
農道でもあるんだよね、この道。

整備された花壇と荒れ地
整備された花壇と荒れ地のギャップが印象的

さあ、そろそろ十三夜の時間だ

どんよりとした空の下、ほぼ予定どおりにMAXバリュー能代北店到着。
酒と、少々のつまみを購入して、本日の宿に向かう。
ついでにお土産も買ったのはナイショだ。
地元ならではのお菓子がリーズナブルにゲットできてシメシメだとか、決して人に言ってはいけない。

ここまでは、ほぼ予定どおりだ。
スケジュール進行もそうだが、天気もまた。
予定どおりというか、期待どおりというか。
台風が近づいているのだが、微妙なさじ加減で進路が逸れ続けているようだ。
有難いことだが、このラッキー、いつまで続くのか。
今までラッキーだった分、最終日でまとめて支払わなければならないような気もする。
もちろん、対価に得るのはアンラッキーだ。
明日どうなるか、明日になれば分かること。

さあ、十三夜到着だ。

十三夜の外観
十三夜に到着のイメージ

十三夜アゲイン

久しぶり…というか2ヶ月ぶりの民宿十三夜。
玄関前で女将さんの出迎えを受ける。
やあ、またお世話になります。
ちっとも久しぶりの気がしないのは当然として、なんというか、やって来たというより、帰ってきたという感じ。
このユル懐かしさが魅力なんだよね。
といいつつ荷を降ろす。

民宿十三夜の和室
今回泊まった部屋 堂々たる和室である

今宵の部屋は和室。
なかなか趣のある佇まいである。
子供連れでも充分な広さ。
天井が高いので、一人だとボッチ感が半端ない。
昔ながらの建築なので、断熱性能は期待できないようだ。
有り体に言うと「寒い」。
この部屋の暖房器具が、小型の開放式ファンヒーター一基。
全室暖房が当たり前の、冬虚弱体質な北海道人にとっては文字通り背筋が寒くなる光景だ。
せめて炬燵があったら…あ、その手があったか。
気付かなかった、炬燵いいじゃないか。
今度提案してみようか。
※本記事は記載されている公開日時の1か月以上あとに書かれたものです。

ともあれ、部屋に着いたらまず充電。
あと、カメラにGPSデータ送信だ。
時間があればブログアップだが…今回はやめにしておこう。
今宵は食べ、飲み、そして語るのだ。

そして宴が始まる

民宿十三夜 2017年10月22日の夕食
今宵の夕餉 これ見よがしの華やかさとは無縁 暖かくそして美味い

前回もそうだったが、この値段でこの料理。
あり得ないでしょ普通。
派手さはないんだけど、それがまた良い。
年のせいかもしれないが、こんな「普通」の一品一品に、無性に恋い焦がれる。
旅館や料亭で供される職人技も悪くないが、どちらを食べたいかと言えば、こんな「普通」な味を選ぶ。
それはもう間違いなく。
橋で料理を啄み、盃を傾け、女将さんとの会話に興じる。
それが十三夜の楽しみ、十三夜の「普通」である。
まあ、こんな「普通」、そんじょそこらに転がってなんかない。
今どき希有な「普通」って、ちっとも普通じゃないし。
普通という名の特別。
そんな感じだろうか。

筍、ワラビ、がんもどき、蒟蒻、しいたけの煮染め
「ばあちゃん」の煮染めに感涙 筍とワラビが秋田

いつも思うのだけど、煮染めってどうしてこんなにほっこりするんだろう。
上手な人が作ればもちろん。
それなりの腕の人が作っても充分に美味しく、なによりも暖かい。
年を取った証拠でしょう♪
竹内まりやの唄にあったなそんなフレーズ。
華やかな皿達の中にあって、いつも地味地味な引き立て役を演じているけど、真っ先に目に入って、真っ先に箸を伸ばすのが煮染めなんだよね。
と言いつつ、箸を伸ばす。
まずは筍だな。
ほどよくつゆが染みた筍の、風味と歯ごたえを楽しんだら、柔らかなワラビで緩急をつける。
どちらも持ち味は野趣。
イメージ的には秋田だな。
たっぷりと旨味を吸い込んだがんもどきを味わったら、次は蒟蒻で口の中を引き締める。
いや、これもまた味が染みて美味い。
そして、殿は椎茸。
旨味をたっぷり吸ってプックリと膨らんだ身を噛みしめ、その弾力を味わい、口中にほとばしる出汁の旨みを味わう。
やばいな、書いてて腹が減って来た。
煮染め食べたいぞ。

豚の角煮 長ネギ添え
豚の角煮という変化球が面白い 口の中でとろける脂の軽やかな旨さ

二の皿が豚の角煮というのは予想外だった。
いや、良い意味で。
へー、ここでこってりとした一皿を持ってくるのかと。
てっきり魚系だろうと思っていた。
箸をつけると、思いのほか柔らかい感触にホーと思う。
こいつはあれだ、トロトロお肉だ。
ちょっと強めに挟むと千切れてしまいそうな、プルプルとしたソレを口の中に放り込む。
ちょっと噛むと、ホロリとほぐれ、続いて、トロっとした脂の旨みが広がる。
お、想像以上にあっさりしている。
脂っぽさは鳴りを潜め、肌つやに良さそうな成分が口の中で踊り出す。
これはたまらない酒のつまみですね。
などと、ビールをあおる。
最高ですがな。

カレイ?の煮付け 付け合わせのゴボウもいい味出してる
カレイ?の煮付け 付け合わせのゴボウがまた良い

そして魚の煮付けである。
たぶん…カレイ?
すみません、あまり魚に詳しくないんです。
聞いておくんだったと、今更の反省。

美味しい。
普通に特別美味しい。
塩っぱすぎず、薄すぎず。
良い感じで汁が染みている。
もちろん、生臭さなど一切ない。
身をさっくりほぐし、箸で口の中に入れると、ほのかな醤油の香りを放ちながら、旨みの染みた身がホロホロと崩れていく。
これ、ご飯のおかずに最高。
でもって、酒の肴にも最高。
日本酒なら申し分なしだけど、ビールで流し込むってのも悪くない。
何気なく並んでるけど、魚の煮付けって、近頃じゃ稀少アイテムなんだよね。
しつこいようだけど、この料金でこの食事、本当に良いんですか?

十三夜のボークチョップ
前回は撮りそびれた肉の一皿 今宵はボークチョップ…みたいな もちろん美味

とどめのポークチョップ。
パーフェクトなまでにザ・ベストご飯のおかず。
それがなぜとどめかというと、一番最後に登場したメニューだから。
前回はステーキ?ポークソテー?が、食事のやや終盤、酒が回り始めた頃に登場。
撮り忘れるわ、ご飯と合わせそびれるわのジョーカー的存在だったが、今回は割と早めに登場。
ご飯のおかずとしても、しっかりとその役割を果たしていた。
GJご苦労様。

前回同様、質・量とも満足な内容に、ただただありがとうと言いたい。
ビールで喉と口の回転軸を潤し、愛情こもった料理で舌と心を潤す。
そして、女将さんとの会話で魂を解きほぐす。
自分で書いてて恥ずかしいフレーズに思わず赤面だが、そのくらい持ち上げてもOKだろう十三夜。

ニシンの切り込み
ニシンの切り込みもあったのだ

女将さんと少しだけ語ったこと

腹もくちくなり、酒も進み、口も回るようになってきた。
相変わらず女将さんと話をするのが楽しい。
時折口にするグチもまた楽しい。
と言ったら失礼だろうか。
以下、要約。
※注:かなり脚色してます。

・せっかくの料理をお客さんが残すんですよねー(ショボーン)。

・うちは民宿、24時間のホテルじゃないんです、門限あるんです。
なのに、どうして?

・北海道の人って暖房ガンガン使って、真冬に半袖でビールにアイスクリームとかおかしくないですか?おかしいでしょ?

などなど。
ほんと、一人で良く切り盛りしていると思う。
いろいろ苦労されているようだけど、それもまた楽しみに変えていくパワーがあるんだろうね。

北海道人のくだりは頭が上がりません。
いや、まったくそのとおりですから。
北海道人って、ホント、エコに反することが好きというか得意なんです。
徒歩2分以上なら平気で車使うし。
自分も充分北海道人であるという自覚があります。
冬は北海道人から暖房代徴収してください。
そうしたら遠慮なく暖房ガンガン使いますから。

と、なんだか酒が進みすぎたのか、いささか眠くなってきた。
もう少し飲みたかったが、ちょっと横になりたくて、謎の会話を続ける相方と女将さんを残し、一人部屋に退散。
「ちょっと横に」が「朝まで横に」なったことは言うまでもない。

秋田・青森 秋の小旅行その5 「寒風山で昼食を」

二日目のオープニングは雨

2日目の朝は雨 レールパークの事務所も濡れている
2日目の朝は雨 レールパークの事務所も濡れている

朝、薄暗い窓を開ければ、雨に煙る山間の風景。
忌々しいが天気予報どおりだ。
奇蹟を期待したが、まあ仕方がない。
ガスに覆われた山並みを眺めながら朝湯につかる。
いやぁ~極楽。
温泉宿の醍醐味だな。

一風呂浴びたら朝ご飯である。
当初ちっとも期待していなかった朝食だが、昨日の夕飯で期待値がいや増してしまった。
ハードルちょっと高め。
果たして、その内容は…。

中略

まあ、期待値が大きすぎたようだ。
やはりここは初心にもどるべきだろう。
期待値リセットボタンを押そう。

清風荘の朝食 ほぼザッツ・オール
ザッツ・オール な清風荘の朝食
なめこのみそ汁のある朝食は至福である
なめこのみそ汁のある朝食は至福である

必要にして最低限。
まあ、それはいい。
内容にもさほど不満はないが、皿がどうにも好みではない。
白磁の、和よりも洋に近い、シャープなシルエット。
なんだろう、上に置かれた場違いなおかず達は。
ワシら洗い物減らしたいんだよね的な意図を隠すつもりもないらしい。
などと、不満はあったものの、ご飯もおかずも美味しくいただいたし、腹もくちくなればハッピーエンドである。
それに、好物のなめこのみそ汁がおかわりできたし。
気分良く一日のスタートを切ることが出来た。
と、ブログには書いておこう。

雨の中、寒風山を目指す

さて、本日は、寒風山でランチを、次に─ほぼオマケだが─日本一低い山「大潟富士」を見物して、マックスバリュー北能代店で酒とつまみを買い込み、十三夜で宴を楽しむという算段である。
天候に期待することは出来ないが、もしかしたら、昨日と同じように奇蹟的に晴れるかも知れない。
日頃の行い良いし(当社比)。
台風はきっと、進路を逸らしまくってくれることだろう。

雨に滴る、朝の清風荘
雨に滴る、朝の清風荘 アリデベルチ!

本日もルートはグーグル先生の仰せのままに

夏の秋田ドライブ、先だってのイタリア+プチ・スイス旅行で、すっかりグーグル先生信者となったワタシ。
清風荘→大館北IC→秋田自動車道(無料区間)→鷹巣IC→県道324号線→国道7号線→二ツ井白神IC→秋田自動車道(無料区間)→能代南IC→国道7号線→県道42号線→県道55号線→寒風山展望台というルートを一瞬ではじき出すグーグル先生に精神的に平伏しつつ、カーナビにもルートセットする。
順調に行けば、というか、昼までには余裕で寒風山に着くスケジュールだ。
天候回復を期待しながら、雨の中をTake it easyで清風荘を出発した。

道の駅が空港?空港が道の駅?

大館能代空港のアプローチ
空港に道の駅?なんじゃそりゃ 看板に誘われ思わず寄り道

大館樹海ドーム付近で渋滞に巻き込まれたものの、恙なく車は進む。

予断だが、この樹海ドーム、見た目が王蟲(おうむ)なんだよね。
その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべしのオームだ。
目を真っ赤に光らせて暴走しそう。
樹海ドームというより腐海ドーム、いや腐海オームだな。
どうやら相方も同じ考えらしい。
というか写真撮りまくってるし。
どうやらとても気に入ったらしい。

閑話休題、大館北ICから秋田自動車道に入り、大館能代空港手前でいったん一般道へ降りたところで「道の駅・大館能代空港」なる珍妙な標識というか看板を発見。
躊躇うことなく寄り道することにする。

大館能代空港の案内板
空港に道の駅があるのか?空港が道の駅なのか?

それにしても、こんな辺鄙なところ、と言っては失礼だが、アクセスもあまりよろしくない場所に空港があって、あまっさえ道の駅も標榜しているのは、いささか不自然に思えてならない。
ワタシの脳内では「注文の多い料理店」がリフレインされている。
明らかに「誘ってる」よな…。
などと思いつつ、空港ビルの中に入ってみたが、まあ、当たり前に空港だった。
まあ、そうだろう。
ただ、便数が異常に少ない。
さきほど飛び立って行ったANAのB737のあとは夕方の一便だけ。
決して遠くないところに秋田空港があるんだし、無理からぬところだが、そんなことわかりきった事だよなぁ。
ではなぜ?
う~ん、考えれば考えるほど良く分からない。

この一角が道の駅らしい
どうやら、この一角が道の駅らしい

で、肝心の道の駅なのだが、結局、どこが道の駅なのか、これまた良く分からなかった。
もしかすると、1F片隅にある小さな物販コーナーがそうなのだろうか。
そう思って写真を撮ってみたが、頭の中では「?」が絶賛量産中である。
結局のところ、二人して頭に数多の???を浮かべながら道の駅を後にした。
収穫があったとすると、エントランスにあった、お出迎えワンコが可愛らしかったことだな。
いってらっしゃい…お出迎えじゃなくて、お見送りワンコでした。

ワンコのオブジェに見送られる
ワンコのオブジェに見送られる

そして寒風山の頂きに立つ

寒風山展望台
寒風山展望台に到着 実に27年ぶり
寒風山展望台から能代方向を望む
頂上について間もなく雲がひいていった 奇蹟や
寒風山頂上から秋田市方向を望む
海岸線のカーブがどこどなく函館を思い起こさせる

「大館能代道の駅空港」から1時間半ほど走って寒風山展望台に到着。
相変わらず雲は低く、しみったれの太陽はちっともご尊顔を拝させてくれない。
それでもいつしか雨は止み、山頂を覆っていた雲も霧散しつつある。
やったね。
まあいわゆるひとつの奇蹟だ。
いやー日頃の行い良いしー(棒)
いつかバチがあたるだろうその日までラッキーでいたいものだ。

それにしても、寒風山!
実に27年ぶりである。
前回訪れたときは単車(RZ250RR)だったな。
レストハウスの駐車場で、変なネーチャンが、ワタシのバイクをしげしげと眺めていたっけ。
なんだかひどくボケたセリフをかましてくれたことを良く憶えているのだが、どんなセリフだったかは忘れてしまった。
なんせ四半世紀オーバーである。
こっちがボケてしまうわ。

などということを思い出しつつ、展望台レストランに向かう。
時刻は12時半。
昼飯にナイスなタイミングである。

展望台レストラン入口に掲示しているメニュー
展望台レストランの入口 ワタシぶは心に決めたメニューがある

寒風山で昼食を

その昔、某宝石店のショーウィンドウを眺めながら朝食をとっていた娘がいた。
あれから50と余年。
いい年こいた男二人、展望台レストランの窓に張り付き、眼下に広がる絶景を眺めがら昼食をとっている。
すこぶるどうでもいい喩えである。

さて、天候はパッとしないが、雨にたたられることだけはなかった。
ミニマムな幸運に感謝しつつ、昼食と風景を堪能することにしよう。
オーダーは昨夜のうちに決めてある。
グーグル先生は偉大だ。

昼食は「男鹿しょっつる焼きそば」を

つけ加えるなら「ハタハタのフリット添え」だ。
天ぷらとか言っていたが、ここはフリットだろう。
つまり、昼食は「チャイニーズパスタのしょっつるソース男鹿風ハタハタのフリット添え半熟卵のせ」を、である。

……

長いしダサいし、やっぱり男鹿しょっつる焼きそばでいいや。
ちなみに730円税込だ。

男鹿しょっつる焼きぞば730円
迷わず「男鹿しょっつる焼きそば」をオーダー これを食べたかった

で、肝心の食レポだが、結論から言おう。
想像よりずっと美味しかったと。

これは焼きそばの革命かもしれない

革命と言っても文化大革命などとは比較にならないちっぽけなモノだが、もしかすると、将来、新たな焼きそばの種の起源としてWikiに載るくらいのポテンシャルはあるかも知れない。
刮目すべきは汁気の多さである。
ここはスープと言うべきか。
しょっつるの風味がほどよく利いた塩味のつゆが、多すぎず少なすぎず、万遍なく麺に絡んでいる。
中細の蒸し麺は、強火で炒めたのだろう、表面は比較的カリッと、中はしっとりもちっとしている。
さぞかし油ギッシュだろうと思ったがそんなことはなく、塩焼きそばしては多めのしょっつるスープが、さらに油っぽさを消しており、いい感じで麺にコクを醸し出している感じだ。
汁気たっぷりの麺が、まるでつゆ焼きそばのように、ツルツルと口の中に吸い込まれていく。
一見普通の塩焼きそばでこれは嬉しい誤算というか不意打ちというか快感である。

タダモノでない添えモノ

添えられたハタハタの天ぷら…もとい、フリットも良い役割を果たしている。
小振りで淡泊だけど、しっかりとハタハタの印象を残してくれてるんだよね。
添え物でございます的にシオらしくしているようで、けっこうグイグイと男鹿秋田をアピールしている強かさ。
焼きそばに天ぷらとか普通考えないでしょ。
あ、フリットか。
考えて実行してメニューにしちゃうところが凄いと思う。
油っぽさ控え目だからこその荒技だろう。

一方で、半熟卵というか温玉の立ち位置は微妙かな。
普通なら「わーい温泉卵だー」的な条件反射でグリグリかき混ぜるところだが、あまりそういう気にならない。
なんというか、しょっつるスープの絡んだ麺を最後までじっくりと味わいたい気分に水を差される感じ?
せっかくの逢瀬を邪魔すんなよ的な?
なにか別なモノをトッピングするか、あるいはむしろ、なにもない方が良かったと思う。

それだけ、汁と麺のバランスが良かったということなのだが、いっそのこと、超シンプルに、麺と汁だけ、具はキャベツと豚肉だけ、青のりではなく小口葱の刻みを散らし、添え物は紅ショウガだけ、それも千切りではなく薄切りを、というのはどうだろう。
肉の代わりにハタハタの唐揚げってのもいいか。
などと、埒のないことを思いつつ完食。
「シェフを呼んでいただこうか。」
思わずそう言いたくなるような味だった。

ご馳走様でした。

寒風山展望台レストランのハタハタ蒲焼き丼
相方はハタハタ蒲焼き丼をオーダー う~ん…こっちも旨そうだな

なお、ハタハタ蒲焼き丼だが、こちらも非常に美味。
秋田だからと強烈な甘辛さを覚悟していたが、口に含んだ瞬間、品の良い妙齢のご婦人に挨拶されたような気分になる。
なんのこっちゃかと思うが、見た目とは裏腹な、繊細で丁寧な味付けに、思わず襟を正してしまったということ。

これにも温玉トッピング。
どこまで温玉好きなんだか。
悪くはないが、ハタハタの蒲焼きの風味を活かすなら、しょっつる焼きそばと同じく、ない方がいいかも。
どうしてもというなら、軽く茹でたオクラがいいかな?

いずれにせよ、展望台レストランというバリバリの観光施設でありながら、観光地にありがちな、値段の割に味と見栄えと量はイマイチ、店の雰囲気もイマイチという残念な仕様とは一線を画すクォリティが素晴らしい。
しょっつる焼きそば食べたさに再訪を検討したくなるレベルである。

いつかまた、寒風山で男鹿しょっつる焼きそばを。
温玉抜きで。
そんな思いを胸に、寒風山を後にする。

目指すは十三夜!

秋田・青森 秋の小旅行その4「1日の〆は温泉とビール+鍋で」

本日は温泉宿で一泊

清風荘のフロント
清風荘のフロント

レールバイクで軽く身体を動かした後、本日の宿へと車で移動。
といっても、レールバイクから宿はまでは直線距離で200mもない。
歩いたって行けるというか、むしろ、歩いた方がいいくらいの距離だ。
いつものようにナントカトラベルで予約したのだが、別にレールバイクの近くだからというわけじゃない。
他に空いてる宿がなかっただけの話である。
実は、予約してからレールバイクの存在を思い出し、調べてみたら超近くてビックリ。じゃあ行ってみようか、という流れだ。
これ、ホントの話。

汗を流したら…でしょ

部屋に到着し、荷を解気終え、早々にランニング用のウェアに着替える。
軽いストレッチと筋トレを済ませたら、ランニングシューズに履き替え、宿の周囲で軽くランニング。
10分ほど走ったら、軽く身体をほぐし、火照りが冷めた頃合いに、温泉に向かう。
流す…というほどの運動量じゃなかったが、やっぱり汗をかいたあとはひとっ風呂でしょ。
風呂上がりといえばビールでしょ。
ビールといえば…。
ビールといえば鍋だよね…あれ?

一風呂浴びてビール たまりませんね
一風呂浴びてビール たまりませんね
本日の夕食の全容 宿泊料金を考えたら申し分なし
本日の夕食の全容 宿泊料金を考えたら申し分なし
山間の温泉宿と言えばイワナの塩焼き
山間の温泉宿と言えばイワナの塩焼き 相方は全部食べちまった
華やかさはないが、ひとつひとつが丁寧 意外と薄味で上品
華やかさはないが、ひとつひとつが丁寧 意外と薄味で上品
秋田と言えばキリタンポ鍋 肉厚の舞茸と比内鶏の出汁が美味い
秋田と言えばキリタンポ鍋 肉厚の舞茸と比内鶏の出汁が美味い

宿泊料金を考えたら、十分すぎる味をボリュームである。
何より感心したのは、品の良さを感じさせる薄めの味付けと、華やかさはないが、一品一品丁寧な仕事ぶりだ。
言い忘れたが、温泉も素晴らしい。
というか、ここの宿の売りが温泉だった。
お値段以上、それ以上の宿である。

夏の旅行の時も思ったが、やっぱり秋田っていいな。
特に、食べ物と温泉がいいな。
食べ物と温泉がいいな。
大事なことなので2度いいました。

客室への仕切り戸
客室への仕切り戸 背後は温泉

秋田・青森 秋の小旅行その3「廃線跡で遊ぶ」

小坂鉄道跡でトロッコを

レールバイクというか、なんかエアロバイク 意外と速い
レールバイクというか、なんかエアロバイク 意外と速い

三忠食堂で昼飯を済ませ、大館へと向かう。
目的は小坂鉄道レールバイク。
たいそうな名前だが、早い話、足こぎトロッコである。

小坂鉄道は2009年に廃止された。
旅客営業は1994年に終わっている。
その昔、多分大学生の頃だったと思う。
小坂鉄道や十和田電鉄など、東北の私鉄の時刻表をよく眺めていたことを、おぼろげに思い出す。
いつか乗ろう、いつでも乗れる。
そんな軽い認識だった。

どうしてもっと早くに訪れなかったのか。
写真を残そうとしなかったのか。
なんて、今更そう思うことが多すぎる。
小坂鉄道も、数多の後悔の、そのひとつに過ぎない。
後悔多すぎ。
ほんと、今更の話だ。

軽い登り坂なのだが、動力車に追いついてしまうことしばし
軽い登り坂なのだが、動力車に追いついてしまうことしばし

後顧の憂いを少しでも取り除くために

乗るはいっときの恥。
乗らないは一生の損。

この歳で足こぎトロッコ?
スワンボート乗るより恥ずかしい。
などと最初は思った。
しかし、ここまで来たんだ。
たくさんの人生を運んだ廃線跡を、どういう手段にせよ、なぞらずに通り過ぎることなど、鉄道(線路)をこよなく愛するワタシにできるはずがない。
今できるベストが、ちょっぴりマヌケな陸上スワンボートに乗ることだとしたら、乗るしかあるまい。
というわけで、腹をくくってレールバイクすることにする。
なんて、大げさだな。

走ってみると気分爽快 下りだとけっこうなスピードが出る
走ってみると気分爽快 下りだとけっこうなスピードが出る
左エンジンに若干の不安を抱える先発便
左エンジンに若干の不安を抱える先発便

鉄の端くれとして最初は抵抗があった

レールバイクというか足踏みトロッコはまったくの初めて。
自分は鉄道ファン、いわゆる鉄の範疇に入っているという自覚はあるが、トロッコに乗りたい思ったことは一度もない。
線路は営業車両が往来して初めてなんぼのもの。
走っていいいのは、暮らしを支える物資や人生を運ぶ営業車両。運行をサポートする支援車両だけだ。
重連のディーゼル機関車や、20m級の気動車が往来していた路線を、あんなオモチャで走るとは、一体何が目的なのか。
家族連れやカップルが、キャーキャー、ワーワー言いながらペダルを漕いで鉄路を進むなんて、遊園地のアトラクションじゃあるまいし。
別に廃線跡じゃなくてもワーキャーできる乗りものはあるだろう。
在りし日の鉄路とそれを支えた人、支えられた人への想いというか、リスペクトが微塵も感じられない。
それは、小坂鉄道と沿線の人々が重ねて来た時間、紡ぎ続けた思い対する冒涜ではないのか。

鉄橋でスローダウン 紅葉の渓谷を存分に楽しむ 
鉄橋でスローダウン 紅葉の渓谷を存分に楽しむ

乗ってみたらメチャクチャ楽しかった

などと、一介の鉄の端くれが偉そうに語ったけど前言撤回。
すみません、さんざん言っておいてなんだけど、乗ってみたらメチャクチャ楽しいです。

線路の上を「オープンカー」で走るということがこれほど楽しいとは思わなかった。
こぎ始めはペダルが重いが、スピードに乗れば、いっそ軽い。
しかも、けっこう速い。
頑張れば並走する車に匹敵する速度が出せる…かも。
少なくとも気分的には出せる。
気分を漢字二文字で表すと「爽快」。
なんというか、とにかく爽快。
歳?
そんなの忘れたよ。
天気が良い日に、ぜひもう一度乗ってみたい。
タイムトライアル、やらせれくれないかな?

動力付きトロッコ列車だと家族連れペット連れで楽しめる
動力付きトロッコ列車だと家族連れペット連れで楽しめる
笑顔を乗せて「特別列車」が戻って来た
笑顔を乗せて「特別列車」が戻って来た

幸せ一杯夢いっぱいの家族連れも、トップオブザワールドなカップルたちも、皆楽しそうだ。
明らかに場違いな我々だって楽しいのだ、楽しくないはずがないだろう、このリア充ども。
周囲の目など気にしなければ、世の中、いくらでも楽しむことができるものだ。
…は〜ぁ