気がつけば出発が迫っている

気がつけば9月も24日を過ぎていた。あと数日でトルコというか、イスタンブールを訪れる。なのに、あまりテンションが上がらない。計画は骨格を作ったままで放置。荷造りは全然手をつけていない。(これ終わったらやろう)

行って、喰って、寝て、ぶらついて、帰ってくるという最低限の生命維持シークエンスは確保しているものの、いつ、どこへ、どうやって、何を、どうするのか、という日々のスケジュールがほとんど手つかずのままなのだ。

ああどうしようという焦りでもあればテンションも上げざるを得ないのだが、計画はさっぱり進まない。たぶん断言してもいいが、計画が決まるのはイス タンブールについてからだと思う。街をぶらつきながら、どこに行こうとか、何を見たいとか、しようとか、食べたいとか考えて、知り合いに教えてもらったエ ジプシャンバザールのオッサンにいろいろ伺いながら、それからようやく計画を立てるのだ。
うん、もはや計画とは言えないな。

それにしてもなぜイスタンブールなのか?

今年の初めに思い立った、その理由を正直あまり憶えていない。
一番の理由はTV番組で見たガラタ橋のサバサンド。これは今でもはっきりと憶えている。
二番目は、おそらく同じくTV番組で見た黒海のイワシピラフ。イワシというか黒海の漁師町を見たいと思ったのかも知れないが、今では良く憶えていない。
三番目は同じくドルマ(ロールキャベツのようなもの)。しかし、キョフテ(肉団子)だったかも知れないし、ケバブだったかも知れないが、なんだか全くどうでも良いことに思える。
それにしても、たいがいに禄でもない理由である。

ちょうど昨年の今頃、ワタシはポーランドに向かっていたところだ。その時は、「死ぬ前に何が何でもアウシュビッツを訪れたい」という、揺るぎない情熱というか衝動というか思い込みというか、名状しがたい推進力を内に感じていたのだが。
それが今年はサバサンドだ。

クラクフ行きインターシティの車内
2012年9月25日 ワルシャワからクラクフへ向かうインターシティのコンパートメントにて

 

だが、ことさら旅に意味やら意義やらを見出す必要など、誰にもどこにもないのかも知れない。何かを得るための道筋をたて、お膳立てをきっちり用意し、巡礼者のように「聖地」を巡るのも旅なら、異国の街を薄ボンヤリと日がなブラつくのも旅なのだ…たぶん。

などと言いつつ、実は確固たる目標がひとつある。それは当ブログの、旅行中のリアルタイム更新だ。ポーランドで昨年果たせなかったそのリベンジであ る。というか、ポーランド初日にして、紛失だか盗難だか分からないがMacを失い、クレジットカード、バンクカード、ショッピングサイトアカウントその他 もろもろ失効し、薄氷を渡るが如き旅を続けた悪夢を上書きして払拭したいという、二年越しの悲願とも言えなくもない。
旅先のブログアップに執念を燃やすのもどうかと思うのだが…。

僅か一週間だが、イスタンブールという重厚な歴史を持つ街のアパートの一室で、暮らすように過ごしてみたい。今回の旅のテーマをあげるとしたら、まあそんなところだろう。

つまるところやっぱりサバサンドなのかも知れない。