写真を「作る」

文字をのせるための写真

函館市亀田中野町「石川の丘」から眺める宵闇迫る函館湾 茜色の空に連なる電信柱のシルエットと海へ連なる一本の道
宵闇迫る函館湾 眠りに就くにはまだ早い石川の丘
NIKON D300 + TOKINA 16-50mm

 

WEBページや印刷物なんかで良くあるのが、写真に文字を載せるパターン。
ただのせるだけなら超簡単なんだけど、いざのせてみたら「ナンカコレチガウ」「ツカエネージャンコレ」ということがしばしば。
自分が撮った絵でもありがちだが、人様というかクライアント様提供の写真ときたら…(自主規制)。
何かが足りないか、あるいは、何かが多すぎる。
そんな写真を良くいただきます、はい。

どんな写真が適しているか

まずは写真のテーマ。
文言と画像の雰囲気がマッチしていなきゃならんのは当たり前だが、意外とマッチしないもんなんだな、これが。
「なんかゴチャゴチャしてる」「印象が散漫」「何を言いたいの?見せたいの?」という写真はけっこう多い。

次に視認性というか可読性。
文字を載せるんだから、背景はプレーンな方がいいに決まってる。
明度が重要で、視認性だけを言えば極端な話、文字色#FFF、背景#000か、文字色#000、背景#FFFがベストってことになる。
実際にはアンニュイな組み合わせの方が多いけど。

そしてスペース。
文字をのせる「余白」が充分に確保されてなければならない。
当たり前だな。当たり前なんだが、顔がフレームアウト寸前の写真を渡しておいて、文字をのせろ、顔に文字がかかっちゃいかんとか、そういった理不尽なケースも少なくないんだよね。

文字のせ前提の撮り方と加工

【修正前】フィレンツェの裏路地で見かけたチンクエチェント NIKON D90 + TOKINA 16-50mm
【修正前】Lightroomで現像 NIKON D90 + TOKINA 16-50mm

上の写真は、フィレンツェの裏路地で見かけた往年の名車「フィアット チンクエチェント」。
くたびれた雰囲気がなんともいい味を出している。
一方通行なので、上手い具合に左がガラガラで、幸いなことに通行人もいない。
文字をのせてくださいと言わんばかりのロケーションだ。
左側を充分にあけてさえおけば、あとはアドビマジックでなんとかなる。
てな感じでパターンを変えて何枚か撮った、そのうちの一枚である。
Lightroomで現像してjpg書き出し。
調整はホワイトバランスとシャドウ・ハイライトぐらい。
まあ割とフツーの風景である。

で、下が「文字のせ用写真」に加工したもの。
Lightroomで周辺減光、フォトショでさらに周辺減光、チンクエチェントをぼかし250のレイヤーで重ね、背景画像の彩度をゼロにしてレイヤー複製。それを透過率40%ほどでソフトライトで重ねてレイヤー結合して明度を落とし、チンクエチェント部分の彩度を若干上げてレイヤー統合。
文字にすると何だかややこしいが、実際には所要時間3分ほどの軽い作業。
がっつり空いた左の、暗く沈んだスペースを見ると、無性に文字で埋めたくなってくる。
まあ、それが狙いなのだが。
というわけで、翌年の年賀状となったしだいである。
ちゃんちゃん。

【修正後】フィアット チンクエチェント NIKON D90 + TOKINA 16-50mm フィレンツェ
【修正後】Lightroomで現像後、Photoshopで加工 NIKON D90 + TOKINA 16-50mm