晩夏と言うには少し涼しく、初秋と言うにはちょっと暑い。
空は青く、雲は高く、山は碧。
カメラを携え自転車で走り回るには最高の日だ。
休日にしては早めの朝食を済ませ、軽くストレッチと筋トレをこなした後、深煎りの珈琲豆を挽き、出発前のひとときを楽しむ。
午前8時半。
ひととおりの準備を済ませ、車庫からブルーメタリックの車体を引っ張り出し空気圧をチェック。
不足分を充填し、サングラスをかけ、リモコンのボタンを押し、車庫のシャッターを降ろしたら出発だ。
微かに残る夜明けの冷ややかさを感じながら、風を切り、向かうのは運転免許試験場…なんてこった。
こんな素晴らしい日に免許の更新だと。しかも違反者更新で12時までと来ている。
なんちゅーこった。
2018年9月最初の日曜日はこうして始まった。
リ・スタート
…始まったと思ったのだが、試験場に到着して更新者の列に並んで気付いた。
(あ、免許証と財布忘れたわ)
その時点で8時45分。家に戻っても充分余裕だが、別にこんなドジを見込んだわけではない。せっかく周到に用意したアドバンテージを、かくも簡単にロストする己の迂闊さが悔しいというか、スイスでの経験が全然活かされていない!
月末に控えたイギリス旅行に一抹の不安を抱きながら、チャリを漕ぎ漕ぎ、その日二度目のスタートを切るトホホなワタシであった。
恙なく更新を終え、家に戻ったのが12時半少し前。
思いのほか上がってきた気温に半袖シャツに着替える。
スマホとDMC-GX8の時刻を同期させ、Geotag Photoを起動、GPSログを開始する。ショルダーバッグにDMC-GX8+LEICA DG12-60mmとD500+TAMRON70-210mmとを無理矢理詰めこんだら出発。
13時少し前、2018年9月最初の日曜日、三度目のスタートである。
午後のひとときは飛行機と北海ラーメンで
緑園通は何年ぶりだろうか。
何度も何度も走って来た道だから、ついこの間も来ていたような錯覚に陥るが、いつの間にか改修された路面と、ノッペリとした更地へと変貌した、長年の草ボウボウ荒れ放題の土地に、時間の隔たりを感じざるを得ない。
こだわりのカラー舗装は何の変哲もない灰色のアスファルトになってしまったが、滑らかな路面は以前と比較にならないくらい走りやすい。見る分には艶やかさの欠片もない路面だが、実に爽快な走り心地だ。
そして、相も変わらず絵になる。
初めて訪れてから20年弱、緑園通が出来てから40年弱が経った。
老朽化が進み、あちこち綻びも出ているが、一方で修繕も進み、荒れ果てること無く静かに時を重ねる姿には風格さえ感じる。
そう思っている人がどれだけいるのか疑問…というか、それ以前に緑園通を知っている人、通ったことがある人がどれだけいるのかという話だけど。
といいつつ、ひも猫橋を過ぎたあたりから路面の補修は途切れ、相変わらずの凸凹舗装に激しくシェークされながら、元鉄路の遊歩道を湯の川方面へ向かってチャリを走らせる。
TAMRON70−210mmと連写番長の実力を確かめる
根崎のラグビー場に着いたのは13時40分頃。
あと15分ほどでANAの737、続いてJALの767がやって来るはずだ。
もう早く着いていれば昼飯を済ませておく算段だったのだが、まあ仕方ない。
先に撮影を済ませることにする。
自転車を担いでラグビー場の階段を登り、土手に出たら撮影ポイントを決め、そこら辺の草むらに自転車を投げておき(スタンドがないので)、スマホを取り出し、フライト情報アプリ──Frightrader24を起動させ、到着便の状況をチェックする。
本日の着陸は西側、つまり市街地側からのアプローチということは事前に調べてある。まあ、それが分かっているからこそラグビー場に来たわけだが。
それにしてもこのアプリ、離陸してから現在に至る飛行ルートが可視化されている上に、発着スケジュールと実際の時刻、機種・フライト履歴などの機種情報まで一目瞭然という尋常じゃないほどのスグレものだ。
もちろんというか、本来の機能なのだが、世界中ほぼすべての空港の発着状況を確認することもできる。
なんともまあ、すごい世の中になったものだ。
さて、まずはANAの737である。
NIKON D500をAFC+39点マルチ+低速連写モードにセット、絞りF5.6で南西の空にカメラを向ける。
ちなみにGPSもセットしてある。
Frightrader24によると、南から侵入し大森浜上空あたりで旋回してアプローチというけっこう急な旋回だ。
時刻を確認しようとしたとき、南西の空に旅客機としてはコンパクト機影が見えた。
ゆっくりと旋回しながら高度を落としている。
滑走路に対し西北西のポジションになったあたりで直進、こちらへぐんぐん近づいてくる。
思ったより高度が高い。
カメラ縦位置で「ビルの屋上+機影」という構図を狙っていたが、どうやら無理っぽいのでカメラを横位置に戻し、機体のクローズアップ画像狙いに変更。
とにかく撮りまくる。うおー!近い近い!
などと心の中で叫びつつ、シャッターを切る。
TAMRON70−210mm+D500での初めての飛行機撮りだ。
さらに言うならAFC+39点マルチ+連写の撮影も実は初めてだったりする。
どんな絵が撮れているのか、フォカース外れてないか、ブレてないか、非常に気になるところだが、連写番長の実力を信じ、シャッターを切りまくった。
どアップの量産体制だな。
それはともかく、狙っていた縦構図絵は物理的に無理があると分かったので、次の便はDMC-GX8 + LEICA DG 12-60mmにもご足労願うことにする。
ANAの737の15分ほど後、JALの767がやって来た。
さっきとほぼ同じルートだ。
737に比べ一回り大きいはずの767だが、やはりアプローチ高度が高く、建物との比較構図は無理だ。
早々に望遠を諦め、DMC-GX8 + LEICA DG 12-60mmで比較構図を狙う。