食べ物を撮るのは楽しい
目で味わうような、味わいたくなるような絵を撮るのが楽しい。
実際に食べたのであれば、写真を見るたび、その美味しさが蘇るような。
食べられなかったとしたら、目にしただけで、無性に食べたくなるような。
美味しい料理は一層美味しく。
それなりの料理もそれなりに美味しく。
綺麗に撮れたら楽しいし、人に美味しさの欠片でも伝えらたらもっと楽しい。
楽しいけど、その作業は時々しんどい。
しんどいけど、それがまた楽しかったりする。
ポイントはなんといっても光
写真は光が作る。
作物は土が作るのと同じだ。
良い光があってはじめて、良い写真が撮れる。
料理に関して言えば、斜め手前上からの面光源と、前面からの控えめな面光源(補助光あるいはレフ板)があれば申し分ない。
良い光をどうやって手に入れるか
光源は昼光(自然光)が一番だが、蛍光灯、近頃ならLEDでもOK。
経験から言えば色温度以上にスペクトラムがポイントじゃないかと思う。
色温度は波長のシフトとすれば、スペクトラムは周波数特性そのもの。
つまり、昼光色に近いスペクトラムを持っていれば、あとはカメラなりアプリケーションなりで補正(シフト)させればOK。
これって、写真のデジタル化の一番のメリットじゃなかろうか。
光源の理想は太陽光?
太陽光が理想というのはある意味正しい。
正しいというより絶対正義とさえ言える。
単一光源で、面光源で、光量も充分にあって、壁や天井からの反射光もニュートラル。
光源としてはパーフェクト。
太陽ってほんと偉大だな。
ただ、この光、手に入れるのは簡単だが、使いこなしが意外にやっかいである。
太陽の直射光は使い物にならない
理由は青春の光と影。
強烈な光が強烈な影を作ってしまう。。
当然そのままでは使えないのでディフューザーを使うこととなる。
それがけっこう大がかり。
その上、天候、時刻、方位に左右されるので、稼働率が低い。
屋内なら、白レースのかかった大きめの窓と、窓際のテーブルでけっこういい条件を作ることできる。
ただ、相手が太陽なので、天候、時刻、方位、窓からの適切な距離という条件を揃えるのは意外と難しい。
朝ご飯や弁当を作ってチョロっと撮るなら全然OKだが、沢山の写真を撮るにいはまったく不向き。
なので、商用撮影の場合は現場でセットを組むか、設備の揃ったスタジオ撮影となる。
壁や天井が白~明るめな灰色ならストロボもOK
バウンス発光できる、そこそこに光量のあるストロボなら、けっこういい光が得られる。
ただ、壁や天井の色と部屋の大きさにかなり左右されるし、外食先でピカパカピカパカやりまくるのは顰蹙ものだし、どこでも使える手というわけではない。
そもそも、カメラ備え付けのストロボじゃバウンス発光は無理無理無理。
白い紙をストロボの前に置いてバウンスという手もあるが、光量が少なすぎるし、チャージ間隔が長くてとても使いものにならない。
ちょっと高いけど外付けのストロボが必須だ…と思ったら、最近じゃ激安のクリップオンストロボが出回っているんですねビックリです。
条件さえ合えば普通の照明もいけるが
蛍光灯や蛍光灯代用LEDライトは、素直なスペクトラムという点はOKなのだが、「前方斜め上からの面光源かつ充分な光量」という3つの重要ポイントがクリアできない。
一般家庭は事務所の照明って、撮影用光源に比べたら圧倒的に暗く、しかも概ね直上からの順光だから、そのままじゃ全く使いものにならない。
なので、逆光に気味になるよう、光源からちょっと離れた場所で、相当のスローシャッターを切るハメとなる。
三脚とリモコンは必須だ。
なので飲食店は条件が厳しい。
というか、かなり劣悪である。
自然光で撮る
強すぎず弱すぎずの太陽光(逆光)。
ディフューザーもしくは、たとえばレースのカーテンなど、その役目を果たすものと、レフ板。
それら条件が合えば、朝の食卓のような、爽やかな光が得られる。
幸い、我が家にはそのような場所が一カ所あって、自分で作った料理を撮る際には大いに重宝している。
レンズはほぼ50mm(35mm換算で75mm)の単焦点一択なので、三脚使用が原則。加えてリモコンを使うことで、けっこうなスローシャッターにも対応している。
ストロボのバウンス発光で撮る
自然光が得られない場合、ストロボのバウンス発光で撮るという手もある。
言うまでもなく屋内限定だが、壁や天井の色や構造にかなり影響されるし、自宅はともかく、外食先な勝手知ったるわけでもない場所でいきなりストロボをぶっ放すわけにもいかず、案外と使える場所は限られている。
だが、条件が合えば、ちょっと作り物っぽいが、充分に回り込んだ綺麗な光が得られ、しかも手持ちで撮影できる点が大きなメリット。
夜、自宅で撮る場合はクリップオンストロボが大活躍である。
普通の屋内照明で撮る
補助光を使わなくても、料理を置く適切な場所とレフ板があれば、普通の蛍光灯(LED)照明でもけっこう綺麗な絵が得られる。
自宅なら、なんとかそういう環境を作ることができる。
ただし、圧倒的な光量不足は超スローシャッターでカバーするしかない。
住宅(自宅など)で撮った例
外食先で撮った例
一方、飲食店で撮る場合、ストロボやレフ板なんぞまず使えないから、いまいちな写真になることが多い。
というか、ほぼ残念な写真ばかりと言って良い。
敵はこいつらだ↓
・光量が足りない。
・入射角がひどい。
・単一光源じゃない(スペクトラムがおかしい=WBがとれない)。
・望んだアングル・構図が得られない。
店内で撮る写真はこれら劣悪な環境との戦いとなる。。
美味しそうな写真を撮らせるために営業しているわけじゃないし、勝手な戦いではあるけれど、それでも戦ってしまうのが撮影好き(撮りバカ)なのである。
迷惑な話だな。
面光源と補助光を使ったセットで撮る
以前、仕事で撮っていた時は、当然ながらセット撮影が主体だった。
1KWと100Wのディフューザー付き撮影ライトセットとロール式背景紙とレフ板で、綺麗で安定した光を作り出せるのが特徴。
セットを組める場所さえあれば、時間や天候に左右されないので、連チャンで朝から晩まで撮影ってことも可能だ。
体力的・精神的にかなりしんどいけど。