夏の秋田は暑いというイメージどおりに暑い。
曇っているのに30度とは。
そんなわけで、今、寛文五年堂秋田店で、「乾麺、生麺味比べ天ぷらセット」1675円税込を待っている。
寛文五年堂秋田店
住所:秋田県秋田市中通1-4-3 エリアなかいち 1F
http://www.kanbun5.jp/shop.php
東京で言えば大手町っぽいエリアの、複合ビル1F。
和風モダンというのか、非常に小洒落た店だ。
あっという間にオーダーの品が来て、あっという間に食べてしまった。
写真はあとでアップするとして、まずは評価と感想。
期待を裏切らないという安定感
もし、路地裏の片隅で見かけた薄汚れた暖簾の先で出会っていたら、感動の嵐だったとおもう。
これだけの舞台装置と洗練されたスタッフ(和装の女性)とシナリオであれば、期待というハードルは相当高い。
その期待を裏切らず、平然と、期待どおりの美味しさを、期待どおりのサービスと雰囲気で提供しているのだから、相当にレベルの高い店だと思う。
ネットの評判も悪くないし、店もそこそこに賑わっているし、だったら素直に美味いと言えばいいのだが…。
飲食ビジネスモデルの、なんだかよくできたソリューションという印象が強すぎて、味の感想に辿り着けない。
いけない、これではせっかくのウドンが伸びてしまう。
ワタシはうどんを食べに来たのだった。
食感は僅差で生麺 >乾麺
まずうどんの感想。
コシを残しつつ、最後に優しくぷっつりと千切れる乾麺(平麺)と、最後までモッチリと歯ごたえのある生麺(やや太麺)。
けっこう違うというのが第一印象。
そもそも、あまりうどんを食べる習慣がないので、それ以上の違いはよくわからない。
うどん県の人にはゆゆしき問題なのかもしれないが。
ツユは、定番の薄口醤油ベースの所謂うどんつゆと、やや酸味のあるごまつゆの二種。
好みとしては、生麺とうどんつゆの組み合わせがベスト。
生麺とうどんつゆのカップルがそれに続く。
ごまつゆは、淡白なうどんに対し、やや個性が強すぎる印象。
口の中が、酸味とゴマの風味に占領されてしまう。
しゃぶしゃぶ風肉ウドンだったら断然こっちだ。
付け合わせは「いぶりがっこ」と「ひじきの煮物」と薬味。
普通に美味しい。
天ぷらは、実はオプション。
基本の味比べセット1025円に675円プラスで提供されるもの。
構成は、エビ2尾、オクラ、ヤングコーン、なす。
もちろん、揚げたてを提供してくれる。
オクラとナスが夏の雰囲気を醸し出している。
味は期待どおり。
エピは適度にプリッとしているし、オクラも、なすも美味しい。
衣も十分にサクッとしている。
このロケーション、この雰囲気の店で675円はサービスプライスだと思う。
思うのだが…。
食べ終えて、敷紙にべったりとついた油を見つめ、しみひとつ残すことのなかった昨日の天ぷらとの違いに、思わず考え込む。
シャキッとしていながら生じゃない、みずみずしいナス。ほとんど油を感じさせない超絶技巧。
ゆぽぽ山荘のそれが「天ぷら」だとしたら、今まで普通だった美味しいナスの天ぷらって一体?
などと、埒もないことを考えてしまったが、そもそも同じ土俵で語ることが間違っているのだ。
期待どおりの天ぷらであり普通に美味しい。
ただし、期待値というハードル上げ状態での「普通」だ。
相当にレベルが高いことだけは強調しておく。
うどん界のスタバ?
周りから漏れ聞こえてくる奥様方の会話。
スタンフォード大学がどうだらこうだら、モーツァルトとザルツブルグ音楽祭がどうだらこうだらなどなど、時間と金がなければ語れない言葉を聞いていると、なんだか高級住宅地のカフェにいるような錯覚に陥ってしまう。
寛文五年堂秋田店は、うどん界のスターバックス的存在なのだろうか。
うどんを極めるのではなく、うどんのあるオシャレな空間と時間を楽しむ。
その舞台装置として非常に良くできているし、支払った金額を裏切るアウトプットもない。
安心安定の普通を提供するちょっとハイソなうどんカフェ、というポジションが一番しっくりするような気がする。
とはいえ、「普通」を侮ってはいけない。
実はこれ、相当にレベルが高い「普通」なのである。
ジャイアンツの4番バッターが、求められている結果をきっちり出しているのだ。
それを普通だなどというのは、実は、アンタ何様?という話なのだが、あいにくワタシはお客様。
お客様は神様なのである。
ずっこいけど。