金冨士=ラスボス居酒屋だった
この日のシメはススキノの「やき鳥 金冨士」。ボッチ酒を存分に堪能させていただいた。感謝感謝。
結論から言うと金冨士=過去最強レベルのラスボス居酒屋。ここはメッカかエルサレムかというオーラが漂う、紛うことのない酒飲みの聖地だった。平伏して祈りを捧げたくなる。
雰囲気が良くて、酒もやきとりも旨くて、その上安い。最強のトリプルコンボは小樽の寺さんに負けず劣らずの最強兵器っぷりだが、あちらはやきとり特化の、どちらかと言えば制空戦闘機。対して金冨士はやきとりメインのマルチロール機。大学で言えばカレッジとユニバースの違いというか…分かる人には分かっていただきたい。
どちらもそれぞれのジャンルで最強なのだが、ラスボスっぽさでは金冨士に軍配を上げたい。暖簾をくぐってみれば分かるが、積み重ねた時の重さというか重厚さというか、風格が違うんだよね…単に古いだけかもだけど。
伺ったのは平日の17時10分頃。迷っていなければ一番乗りのはずだったのに。残念無念。
それでも充分表彰台(3番手以内)を狙えるだろうと暖簾をくぐってみたのだが…なんということでしょう。17時開店のはずなのに既に五分の入り。人気ありすぎだろ。否が応でも期待が高まる。
7~8席ほどのカウンターにはワタシを含め6人。6つある3人がけ?テーブルには3組7人。いったい、この人たちはいつどこから湧いて…もとい、やって来たのか。まあワタシもその一人だが。
最初はやっぱりトリアエズナマ(異世界居酒屋×ぶ風)だろう
まずはお約束どおりトリアエズナマ(生ビール470円税込)で喉を潤す。ウメー!
キンキンに冷えたこの最初の一杯がホントに最高に最高なのだよボクー。
タン塩で小手調べ
焼き物のトップバッターはタン塩。一昨日の寺さんの「特タン塩」の味が忘れられず、脊髄反射的に注文してしまったが…美味いというか旨い。それもかなり。歯ごたえと肉肉しさを存分に堪能できる滋味溢れる逸品。出会えて嬉しいハッピー3本セット様様だ。タン塩という名のシアワセを噛みしめる。
これで1本93.3333円税込だから恐れ入るが、「値段を考えると」とかいう枕詞抜きに旨い。ちょっと強めの焼き加減も好み。寺さんの特タンに比べたら僅かに固く感じるが、あれは例外中の例外。これを極上と言わずしてなんと言うのかジーザス?
レバーはタレでいただく。焼き方はワタシ的にベスト。ちょっと焦げて表面はカリカリッ、中はしっとりねっとりという仕上がりに賞賛を惜しまない。レバーっぽさを残しつつ臭みは皆無。1本90円税込という冠抜きで掛け値なしに素晴らしい。
レバー苦手なワタシが一転レバー好きとなったのも、こういったホーリーなレバー様との出会いとお導きがあってのこと。1年前までレバニラ以外受け付けなかったことを考えると、信じられないパラダイムシフトである…塩も頼んでおけば良かったな。
居酒屋定番のポテサラ。肉肉肉・肉肉肉のトリプルコンボのナイスな休止符(レスト)だ。しばし舌を休め、次なる肉肉肉に備える。
ポテサラで緩急付けたあとはブタ3連発。いわゆる精肉というやつか?ちょっとカシラっぽい気もするが、いずれにせよ旨い。適度な歯ごたえとセットで肉汁がコンニチワ。食レポでいう「噛めば噛むほど」のアレですね。あと、今さらだが、玉ねぎが食感と香りの良いアクセントになっていることに気付く…ほんと今さらだよ。肉肉肉に目・舌・鼻が魅了されまくりで、玉ねぎの存在に気付いてあげられなかった。永沢君すまない…。
9本目の焼き鳥を食べ終え、冷や奴でクールダウン。腹ゲージはまだ余裕だが、ひとまず終幕をとする。起承転結のケツだな。尻じゃないよ。
冷や奴に合わせる酒といえば熱燗の一択。ひんやり淡泊な豆腐と熱々の日本酒。そこに鰹節と醤油の旨味・塩味、ネギの香りが加わって…しみじみと旨い。なんという繊細な調べというか和の五重奏。大人の味ってこれだよなー。ボッチ酒だからこそ分かる旨さなんだよなー。
などと、つくづく思うダメな大人なのであった。
生ビール470円、タン塩280円、レバータレ270円、ポテサラ270円、ブタ280円、冷奴260円、日本酒熱燗300円と、美味しすぎるミッションをテンポ良くクリア。まずはひとまず終幕とする。
それにしても、けっこうな品数だと思うが時刻はまだ18時前。正味40分ほどでこれだ。料理の提供速度、半端なくない? この賑わいの中、焼き担当一人でこの手際。ほんとマジですごいと思う。
熱燗をいただく頃にはカウンター席にお一人様参入。座敷以外は既に満席となった。18時を回った頃からは奥の座敷にも人が集い始め、あっという間に満員御礼に。
ホントに人気あるわー。ゴールデンタイムのグループ利用は予約必須だな。
焼き担当の男はご主人なのか? 割と若いと思う。お兄さんと呼んだ方が良いのだろうか?
片時も手を休めることなく、ひたすら焼く焼く焼く。まるで早送りムービーのような忙しなさだが、テンパることもなく機敏に動き続け、あまっさえ合間を見ては、元気よくお客さんに声をかけ、にこやかな挨拶を欠かさない。
う~ん、出来る出来すぎる。
その動きはまるで全盛期のモハメド・アリ。蝶のように舞い、蜂のように串を刺す…じゃなくて焼く焼く焼く、焼いて焼いて焼きまくる。そのリズミカルでダンシングな動きが素晴らしい。
接遇は松岡修造…ちょっと(かなり)ベクトルが違うけど、元気さでは負けていないという意味でオーライ?
ホールの女性は3名。なんとなくおっとりしているようだが、目配り気配りはしっかりきっちり。どこからともなく現れ、食べ終えた皿をマッハで下げてくれる。さすがデキル店は違う。
まさに居酒屋界のマルチロール機だが、機種で言えば…なんだろう。うーむ、やはりF/A-18E/Fスーパーホーネットか。それとも、ちょっとロートルだけどF-15Eストライクイーグルか。個人的にはストライクイーグル推しだな。
最終ラウンドは「とりもつ」タレとにごり酒
串9本に冷奴にポテサラ。そこそこ腹もくちくなってきたが、気分がいいのでカーテンコール。最後の最後にとりもつタレ280円を追加する。
とりもつとは、肝とレバーとハツのトリオ串、これがまた美味くて仕方がない。3つのテイストを同時に味わえる楽しさ+甘さ控えめ大人のタレ。そして、にごり酒300円を追加。些か甘甘な組み合わせだが、これがまた〆っぽくて良い。よいアンコールだった。
美味しい焼き串と旨い酒、そして小気味よい応対。
幸せは歩いてこないが、歩いて行くことは出来るという総天然色見本である。水前寺○子にぜひ金富士を教えてあげたい。
素材の新鮮さと値段においては寺さんに軍配を上げたいが、その差は僅差も僅差、コンマ数ポイントしか違わない。焼き方はむしろこちらが好みだし。
いずれにせよ、どちらも非常に高レベルもいいとこ。過去最高級に美味しいやき鳥であることには間違いない。男子フィギュアで言えばネイサン・チェンか宇野昌磨。寺さんが羽生弓弦なだけである。※2020年3月現在のネタです。
ほろ酔い+で店を出たのは18時半頃。
会計はしめて2450円税込とアンビリーバボーな安さ。税込!お通しとか席料もない!なんというパラダイス! お一人様にも満ち足りた時間を惜しみなくリーズナブルに与えてくれる、菩薩のような極楽浄土のような飲兵衛のサンクチュアリである。
帰り際、振り向いて暖簾越しに満席の店内を見渡す。努め帰りのスーツ姿が一人、あるいは2人で盃を傾けるカウンター。テーブル席で語らうグループ。楽しそうだなー。この店に集う面々の気持ちがとても良く分かる。というか分かりすぎるくらい分かってしまった。
さようなら金富士。いつか訪れるその日まで、アイ・シャル・リターンと言っておこう。
惜しむらくは串の注文スタイル。1セット3本はお一人様にはちょっとキツい。できれば2本セット、あるいはやきとりボッチ盛り6種6本のように、バリエーションを楽しめるメニューがあれば嬉しいな。そうなったら金富士は極楽浄土にバルハラ、ついでにニルヴァーナだ。酒飲み天国てんこ盛りもいいところである。
あと喫煙率の高さもちょっと…かな? 居酒屋喫煙には割と寛容なワタシ(非喫煙者)だが、正直ちと煙たかった。4月から変わるのかな、 変わってくれればいいな。などと、ちょっぴり期待。
聖地「金富士」巡礼の道標
聖地金富士へのゲートは大変分かりづらい。初めて訪れる者にとってはまさに神の試練。聖地を目指す巡礼者の気分を存分に味わっていただきたい。
巡礼者になんかなりたくねーよという御仁は、「タバコと雑貨フジヤ」左隣のチープな引き戸を開けると良い。入口から進んで右の階段を降りれば、その先に約束の地を見出すであろう。
May the Yakitori be with you
やき鳥とともにあらんことを!
やき鳥 金富士
札幌市中央区南5条西3丁目
011-531-7740
17時00分~0時30分
定休日:日曜日