ミラノ旅10 スイスでレフトアローン

湖畔のカフェで船を待っていたら大変なことになった

ホットコーヒーでほっと一息
ホットコーヒーでほっと一息

本格的に降り出した雨に、たまらず船着場前のカフェに飛び込む。
コーヒーを頼み、一息ついてブログアップ。
何は無くともブログアップである。

優雅にブログアップ 一見そう見える
優雅にブログアップ このときはそうだった

時刻は17時ちょっと前。
船着場の電光掲示板によると、Spiez行きは17時8分。
時刻表では17時2分だが、遅延が出ているのだろう。
電光掲示板はリアルタイム表示だからな。
などと、のんびり構えていたら、インターラーケン方向から船がやってきた。
おかしいと思ったものの、電光掲示板によると、先に来た方がインターラーケン行き。
そのあと数分後に来るのがシュピーツ行きだからと、ようやく荷物をたたみ始める。
会計を済ませている間に、最初の船が桟橋を離れ、続いて、次の船が接岸準備に入った。
電光掲示板どおりだな。
なんでシュピーツ方向からやって来て、インターラーケンに船首を向けているのだろうと訝しんだものの、気のせいと気のせいノープロブレム。
余裕を持って桟橋に向かう。
思えば、このとき、すでに手遅れだったわけだ。

シュピーツ?え、インターラーケン?

雨が降る桟橋には私一人。
バス停にも誰もいない。
なんでインタラーケンに船首を向けているのか、なんとなく嫌な予感がする。
船が接岸した。
クルーがタラップを下ろし、乗船を促すので尋ねてみた。
「シュピーツ?」
「シュピーツ?インターラーケン!」
あ、やらかした、とその時全てを悟った。
先ほど見た電光掲示板、あれはバスの時刻表だった。
行き先がまったく同じで、スケジュールが酷似していたので気づかなかったのだ。

手前がバス停 奥が船着場 電光掲示板が恨めしい
手前がバス停 奥が船着場 電光掲示板が恨めしい

というか、バス停と船着場、およそ50m離れている。
バス停に船の電光掲示時刻表など、あるはずがない。
ある方がおかしい。
あると思うヤツの頭の中身がおかしい。
自分のことだ。

次の船は1時間半後。
ミラノへ戻る列車が出た後の到着だ。
ダメだ俺。
対岸のシュピーツの街並みが雨に煙っている。
少しずつ、空の明るさが失われている。
異国の名も知らぬ湖のほとりで、雨に打たれながら、一人途方にくれるワタシであった。

一人取り残され呆然と対岸の町を見つめる
一人取り残され呆然と対岸の町を見つめる

湖のほとりで腹をくくる

あと2時間でシュピーツに戻らなければいけないが、船は1時間半後。
一番早いバスは30分後のインターラーケン行き。
次は、その数分後のトゥール行きだ。
タクシーはいない。
というか、レストハウスがあるだけで、他に何もない。
誰もいない。
ヒッチハイク?
その手も考えたが、冷静になろうと自分に言い聞かせる。
何が問題なのか。
ミラノに戻る方法ならいくらでもあるじゃないか。
おそらく今日中に戻れるし、多分、出費も1万円以内に収まる。
それほど大きなダメージじゃない。
悩んでいるのは、予約した列車に間に合うかどうかだ。
だったら、それを諦めればいい。
腹をくくればいい。
そう思ったら、俄然元気が出て来た。
なんだ、大したことないじゃん。

まずインターラーケンに行こう

インターラーケン行きの路線バス車内
インターラーケン行きの路線バス車内

使える交通機関は路線バスしかない。
OK、上等だ。
問題は行き先。
トゥールかインターラーケンか。
路線図を見ると、どっちを選んでもシュピーツにはたどり着けそうだ。
バス停の数=バス路線距離はトゥールの方が多い。
列車の駅数もそれなりある。
一方、インターラーケンまでのバス停は割と少ない。
シュピーツとインターラーケンの列車駅は、路線そのものが記載されていないものの、接続線があることは分かっている。
問題はその駅数だ。
頭の中で地図を再生する。
スマホを見るという手もあったが、時間がおしい。
記憶を頼りに、距離を比較する。
結論が出た、インターラーケンだ。
インターラーケンの方が近い。
というわけで、17時34分のインターラーケン駅行きのバスに乗る。
どのくらい時間がかかるか不明だが、Google先生によると車で15分ほどの距離である。
バスなら30分あれば着くだろうと予想。
そこでGoogle先生に、インターラーケンとシュピーツの交通機関を検索。
すると、なんと18時、18時20分、18時30分発のシュピーツ行き列車がある。
所要時間は20分。
やった!間に合う!
多分だけど。

18時20分のシュピーツ行き
18時20分のシュピーツ行き 間に合った!
雨に煙る湖をぼんやりと見つめる
雨に煙る湖をぼんやりと見つめる

神は見放さなかった

結局、予約したユーロシティに間に合い、無事ミラノへ戻ることができた。
追加で、ちょっとしたミスをやらかしたのだが、まあ、笑い話だ。
今回の件でグーグルは先生から神にランクアップした。
神に見放されずにすんだのは、スマホとWiFiルーターの存在。
それと、モバイルバッテリーのアシストだ。
ありがとう現代テクノロジー。
ネットワーク万歳。

しかし、何と言っても、難事の際は腹をくくることが一番だな。