湖畔のカフェで船を待っていたら大変なことになった
本格的に降り出した雨に、たまらず船着場前のカフェに飛び込む。
コーヒーを頼み、一息ついてブログアップ。
何は無くともブログアップである。
時刻は17時ちょっと前。
船着場の電光掲示板によると、Spiez行きは17時8分。
時刻表では17時2分だが、遅延が出ているのだろう。
電光掲示板はリアルタイム表示だからな。
などと、のんびり構えていたら、インターラーケン方向から船がやってきた。
おかしいと思ったものの、電光掲示板によると、先に来た方がインターラーケン行き。
そのあと数分後に来るのがシュピーツ行きだからと、ようやく荷物をたたみ始める。
会計を済ませている間に、最初の船が桟橋を離れ、続いて、次の船が接岸準備に入った。
電光掲示板どおりだな。
なんでシュピーツ方向からやって来て、インターラーケンに船首を向けているのだろうと訝しんだものの、気のせいと気のせいノープロブレム。
余裕を持って桟橋に向かう。
思えば、このとき、すでに手遅れだったわけだ。
シュピーツ?え、インターラーケン?
雨が降る桟橋には私一人。
バス停にも誰もいない。
なんでインタラーケンに船首を向けているのか、なんとなく嫌な予感がする。
船が接岸した。
クルーがタラップを下ろし、乗船を促すので尋ねてみた。
「シュピーツ?」
「シュピーツ?インターラーケン!」
あ、やらかした、とその時全てを悟った。
先ほど見た電光掲示板、あれはバスの時刻表だった。
行き先がまったく同じで、スケジュールが酷似していたので気づかなかったのだ。
というか、バス停と船着場、およそ50m離れている。
バス停に船の電光掲示時刻表など、あるはずがない。
ある方がおかしい。
あると思うヤツの頭の中身がおかしい。
自分のことだ。
次の船は1時間半後。
ミラノへ戻る列車が出た後の到着だ。
ダメだ俺。
対岸のシュピーツの街並みが雨に煙っている。
少しずつ、空の明るさが失われている。
異国の名も知らぬ湖のほとりで、雨に打たれながら、一人途方にくれるワタシであった。
湖のほとりで腹をくくる
あと2時間でシュピーツに戻らなければいけないが、船は1時間半後。
一番早いバスは30分後のインターラーケン行き。
次は、その数分後のトゥール行きだ。
タクシーはいない。
というか、レストハウスがあるだけで、他に何もない。
誰もいない。
ヒッチハイク?
その手も考えたが、冷静になろうと自分に言い聞かせる。
何が問題なのか。
ミラノに戻る方法ならいくらでもあるじゃないか。
おそらく今日中に戻れるし、多分、出費も1万円以内に収まる。
それほど大きなダメージじゃない。
悩んでいるのは、予約した列車に間に合うかどうかだ。
だったら、それを諦めればいい。
腹をくくればいい。
そう思ったら、俄然元気が出て来た。
なんだ、大したことないじゃん。
まずインターラーケンに行こう
使える交通機関は路線バスしかない。
OK、上等だ。
問題は行き先。
トゥールかインターラーケンか。
路線図を見ると、どっちを選んでもシュピーツにはたどり着けそうだ。
バス停の数=バス路線距離はトゥールの方が多い。
列車の駅数もそれなりある。
一方、インターラーケンまでのバス停は割と少ない。
シュピーツとインターラーケンの列車駅は、路線そのものが記載されていないものの、接続線があることは分かっている。
問題はその駅数だ。
頭の中で地図を再生する。
スマホを見るという手もあったが、時間がおしい。
記憶を頼りに、距離を比較する。
結論が出た、インターラーケンだ。
インターラーケンの方が近い。
というわけで、17時34分のインターラーケン駅行きのバスに乗る。
どのくらい時間がかかるか不明だが、Google先生によると車で15分ほどの距離である。
バスなら30分あれば着くだろうと予想。
そこでGoogle先生に、インターラーケンとシュピーツの交通機関を検索。
すると、なんと18時、18時20分、18時30分発のシュピーツ行き列車がある。
所要時間は20分。
やった!間に合う!
多分だけど。
神は見放さなかった
結局、予約したユーロシティに間に合い、無事ミラノへ戻ることができた。
追加で、ちょっとしたミスをやらかしたのだが、まあ、笑い話だ。
今回の件でグーグルは先生から神にランクアップした。
神に見放されずにすんだのは、スマホとWiFiルーターの存在。
それと、モバイルバッテリーのアシストだ。
ありがとう現代テクノロジー。
ネットワーク万歳。
しかし、何と言っても、難事の際は腹をくくることが一番だな。